特殊詐欺撲滅めざし活躍中/丸山芳美さん(高25回)演出の「オバスターズ」
大阪信用金庫宿院支店にて。閉店後の店舗ロビーで啓発寸劇をした後、ポーズをとるオバスターズのみなさん。左端が丸山芳美さん。中央が代表の宮里眞澄さん(2024年11月)
ネットショッピングを楽しむ女性。気に入った商品をポチッとしたその瞬間、ブー!ブー!と警告音が鳴り出し、止まらない。途方に暮れた女性がつい、画面に表示されている「サポート窓口」に電話すると「あなたのパソコンはウイルスに感染した。サポート代として8万円必要。コンビニでアップルギフトカードを買ってくるように」と指示が! 女性はすっかり信じ込んでコンビニに。でも、それは「サポート詐欺」といわれるものだった──そんな寸劇を上演して特殊詐欺について知ってもらい、被害をなくそうとするボランティアグループが堺市堺区で活動している。その名も「オバスターズ」。高25回の丸山芳美さんはその副代表。若い頃は小劇場の女優、その後40年近い歴史を持つ人形劇団「シャボン玉」の代表として各地で公演するなど演劇活動を長く続けてきた丸山さんだが、オバスターズでは舞台監督兼演出に専念する。
寸劇で楽しく啓発! 私たちは防犯ボランティア
防犯ボランティア団体「オバスターズ」が誕生したのは2023年。サポート詐欺、還付金詐欺、ロマンス詐欺、と特殊詐欺被害が増え続けることに頭を悩ませていた堺署の中谷真由美巡査部長が、同区内でボランティア活動をしている民生委員の宮里眞澄さんと出会い、その顔の広さとパワフルなおしゃべりの力に注目。市民たちのパワーを生かした「軍団」をつくろうと提案。賛同した宮里さんはあっという間に口コミで人を集めた。丸山さんもボランティア活動を通して以前から宮里さん夫妻と親しく、自然とメンバーに。ちなみに丸山さんは2024年から、約200団体が登録している堺市さかいボランティア連絡会会長を務めている。さらに、三丘同窓会役員歴も約30年におよぶ。
第10回堺区ボランティアまつりにて(2025年2月)
「オバスターズ」とは「バスター(追い払う)」と「おばちゃん」と「スター」を合わせた言葉。よくあるオバチャン像とは一味違うオバチャンがかっこよくバスターする、そんなイメージだ。
メンバーは堺市堺区在住の概ね60歳以上の女性が中心。現在40人近いメンバーがいるが、啓発チラシ配りや大道具担当もいるので、芝居をするのはそのうち20人くらいだそうだ。
「オバスターズという名前にははじめ、抵抗がありました。大阪のおばちゃんといえばヒョウ柄の服を着てる…みたいなイメージも。でも、お芝居の経験もなかった人たちが舞台に立つことによって日常を離れ、舞台の魅力、楽しさに気づくとどんどん若返る。みなさんのそんな様子を目の当たりにしていると、次第に『オバスターズ』という名前も愛しく思えてきて、今は誇らしく思っています」と丸山さん。

2024年12月、堺市特殊詐欺撲滅への決意表明に参加(堺市役所1階で)
大阪弁のセリフでとっつきやすく、笑っているうちにいつの間にか見入ってしまうオバスターズの寸劇は大好評。結成以来、地域の防犯教室に、企業の職員研修にと出演オファーが絶えない。
活動範囲は堺区内限定だがこの夏、堺市内のイオンなど商業施設や区役所の街頭モニターでオバスターズ出演の動画が流れるそうだ。特殊詐欺の被害ゼロをめざし、堺市と警察、オバスターズが三つどもえで作戦展開中なのだ。あなたもそのうちオバスターズに会えるかも?
(2025.6.13)