今年もSchool Information Meeting開催

新しい年度が始まって間もない4月26日、母校の視聴覚室にて中学2年生・3年生と保護者を対象に「School Information Meeting(スクール・インフォメーション・ミーティング。以下「SIM」)」が開催された。
中学生と保護者を対象とする高校の学校説明会は今ではほとんどの高校で行われており、大阪府のサイトを見れば各高校の学校説明会の日程がわかるようになっているが、いつごろからこのような状況になったのかははっきりしない。かなり以前からあったようだが、少子化や私学の台頭を背景に各校が特色を打ち出すようになり、盛んに行われるようになったかと思われる。そんな中でもSIMは独特だ。
SIMは、その名称自体、母校独自のもの。通常の学校説明会と異なり、生徒たちによる探究発表、海外研修報告がメインとなるので「学校説明会」という名称では内容にそぐわないことからこの名前になったそうだ。名付け親は福本美紀前教頭とのこと。
この日は9時〜、10時45分〜、13時〜、14時45分〜の4回開催で、約450人(合計232組。ほとんどが保護者1人と中学生1人)の参加があった。当日は部活の見学もできた。
13時からの回を見学させてもらい、また、渡部英輝首席(高48回)にお話を伺った。
「三国丘高校は今年130周年という古い歴史を持つが、古いことばかりやってるわけではない。常に新しいことをやっている学校です。職員室の前にはずらっと机が並べられ、先生に質問できる。実験も、言われたとおりするのでなく実験の『デザイン』から自分たちで考える。国際交流もさかんです。インド、オーストラリア、台湾、韓国の生徒と交流できる。令和7年度の3年生の希望状況では99.7%が国公立を希望する」と、大塚雅之首席が学校の概要を説明。そのあとは次々に生徒たちが登場、発表する。司会も生徒だ。余裕さえ感じさせる落ち着いた話しぶりに感心。研究発表のテーマもおもしろく、それをわかりやすく説明するための工夫がされていると感じた。
GLHS(グローバル・リーダーズ・ハイスクール。府立高校の特色づくりの一環として母校を含む10校が指定されている)国語班のチームは「狗耕田と花咲爺~中国と日本の昔話を比較して~」というテーマで発表。「狗耕田」は日本の花咲爺とよく似た中国の昔話だが、両者を比較して「花咲爺」では「隣人葛藤」が、「狗耕田」では「きょうだい葛藤」がみられる。これは当時の家族制度が関わっているという考察。この研究は今年2月のGLHS合同発表会で高く評価され、大阪大学賞を受賞した。
SSH(文科省が指定する「スーパーサイエンスハイスクール」)では物理班が「サイコロの重心と出る目の関係」というテーマで発表。実際に3Dプリンタで中身がからっぽのサイコロや半分詰まったサイコロなどをつくり、それを何回も(1000回以上)振って(実際には同じ条件にするため、装置から落とす)出る目を記録して分析した。
SGH(文科省が指定する「スーパーグローバルハイスクール」)の成果発表ではスタートアップチャレンジ甲子園でベストフォーカス賞、三井住友銀行賞を受賞したグループ「とことこ」が登場、「命を救う防災枕『とことこ』」を紹介した。就寝中に災害が起きたとき、とっさに靴を履いて避難できるかどうかは大きな問題だが、枕元に常に靴を置いて寝る人は少ない。そこで内部に靴を仕込んでおくことができる枕を考案した。できあがった枕は中に靴が入っているとはとても思えない出来栄え。しかも価格は当初3980円の予定だったがなんとか抑え、「みくに」にちなんだ3920円にした、と聞いて思わず笑いが起こる。
SIMの効果あり!
参加者も大いに楽しめ、三国丘高校を身近に感じられるSIM。このような形としては令和5(2023)年にソフィア堺ではじめて開催、昨年もフェニーチェ堺で夜に1回開催したところ、大きな変化があった。
新入生対象のアンケートで「三国丘高校を志望した動機」を聞いたところ、生徒を前面に出した学校説明会等を行っていなかった令和4年度入学生と直近の令和7年度入学生の結果を比較したところ「学校説明会などで接してくれた生徒(三丘生)の印象が良かったから」という回答が数倍に増え、一方で「塾の先生に勧められたから」と「親に勧められたから」という回答がどちらも5分の1程度に減少したのだ。
「SIMを新規に実施し学校説明会を生徒中心の内容に変更したことにより、中学生が自ら三国丘高校を選び、憧れを持って入学してくれるようになったと思っています」と渡部首席。
学校説明会は6月以降に実施する学校が多いなか、母校では今年は4月開催。その理由は学校行事や3年生の受験準備との関係を考慮したことが大きいが、他校に先駆けてSIMを行い、中学生に来てもらって三丘生と接する機会を持ってもらうことにより、強いインパクトを与えたいというねらいもあったという。参加者アンケートでの反応もよく、手応えは十分な様子。
11月8日には学校説明会が行われるが、SIMは今年度はこの日で終了。来年のSIMはどうなるかはまだ決まっていない。三国丘高校のSIMは進化の途上にある。
(2025.5.27)