三丘同窓会

俳句の講演会を開催/戸堂博之さん(高7回)らアカシア俳句会が呼びかけ


  8月25日、母校視聴覚教室で「俳句のイロハを教えます」と題した講演会が開催された。呼びかけ人は高7回の戸堂博之さん。同期の俳句好きが集う「アカシア俳句会」の世話人代表であり、一方でインターハイ(母校優勝時のメンバー)、国体出場などの経歴を持つテニスプレーヤー。2019年には「生涯現役スポーツ賞」金賞も受賞、母校硬式テニス部のコーチも務めてきた。
 当日は高7回の仲間たちからテニス部の生徒たち、そして教員や同窓会役員、とさまざまな人が集まった。


 講師を務めた田中睦庸(俳号・春生)さんは元数学の先生。母校でも1985年から1997年まで教壇に立った。だが「小さい頃から、本当になりたかったのは詩人でした」という。詩の中でも自分は短いものに向いていると思い、俳句を20代から始めた。以来40年。数々の受賞経験も経て現在は俳誌「朱雀」を主宰する。


 2019年の総会でも演奏を披露したピアニストの井阪あゆみさん(高43回)。1年生のときの担任が田中先生だった。職員室が好きでよく遊びに行っているうち、田中先生が俳句の世界で活躍していることを知って興味がわき、指導を受けるようになった。先生は普段は優しいが俳句となると「スパルタ」だったそうで、毎週与えられた季語で5句作ってくるよう言われ、がんばって作った。
 必修クラブの1つとして田中先生の指導する俳句クラブも発足、生徒たちが応募した「第19回全国学生俳句大会」(日本学生俳句協会主催)では井阪さんの句「炎天や日時計の軸熱くなり」が入選するなど母校は大活躍、みごと高校の部1位に輝いた。
 「勉強が苦手だったけど、俳句のおかげで私の高校生活はきらきらしたものになりました」と語る。

 この日はあらかじめ生徒たちから提出されていた句の講評もしながら、俳句の基本についての講義が進められた。さすが元先生。講演会というよりすっかり高校の授業の雰囲気になっていて、OB・OGにはなんだか楽しい。

・揺らぐ僕と共に揺れてる蝉の殻 
「うまいですね。内容もいいが、『と』があるのがいい。すばらしい」

・日の光たくさんお食べひまわりちゃん 
「日の光を浴びると言わず、食べるとしているのがいい。『ひまわりちゃん』もいい。子供っぽく思うかもしれないが、これが『日の光もっと食ぶべし日輪草』ではつまらない。やっぱり『ひまわりちゃん』でいいんです」

・桜舞う微笑む君と歩く恋 
「『恋』と書かなくても、『微笑む君』でわかるので『歩く道』で十分でしょう」

・天の川みんなの夢は無限大
「天の川とみんなの夢はまったく別のことですね。こういうのを「取り合わせ」といいます。それに対してひとつの季語だけを描くものを『一物(いちぶつ)仕立て』といいます」

 時に生徒たちの楽しそうな笑い声も起こる中、わかりやすい説明に、参加者はなるほどそういうことかとうなずいたり納得したり。田中さんは終始にこやかながら時々「申し訳ないけど」と言いつつ、「これはだめ。理屈でつながってるから」「ここは少し押し付けがましい」「季重なりになってる」等、容赦無く指摘。やはり「やさしいけど俳句には厳しい先生」だった。

 事前にGoogleフォームを使った模擬俳句会(俳句コンテスト)も行われた。23の句が作者名を伏せた状態で提示され、その中から良いと思う句を6つ選ぶ。集計結果で最も多くの支持を得たのは「ブランコにかわりばんこの風が吹く」だった。作者は藤井光正校長。

「俳句はやればやるほど楽しくなる。奥が深い」と田中さん。
 戸堂さんからも「みなさんも俳句を始めませんか。テニスと俳句は両立できますよ」と熱い勧誘があった。

 アカシア俳句会では季節ごとに俳句会を開き、句報を発行するなど活動している。くわしくは下記のリンクを参照。

https://blog.goo.ne.jp/shuichimaeda/e/5b760d96752e4204789a719486457817?fbclid=IwAR1bff1m16tTI4tzd9WRnodyoBNblxAmff80WeguosiSB4GK4YrEkJ-kVLk

高7回のみなさん。前列右から3人目が戸堂さん。
 
〔2023.8.29〕