世界オセロ選手権に出場/最年少にして最高位九段の髙橋晃大さん(母校2年生)
コロナ禍で2年続けて開催が 見送られていた第44回世界オセロ選手権が2022年10月28日~30日、25か国88人が参加してフランスのパリで開催され、母校2年生(高76期)の髙橋晃大(あきひろ)さんが日本代表の1人として出場した。髙橋さんは前回に続く連続優勝はならなかったが、団体戦優勝に大きく貢献した。
3度目の出場、連続優勝はならなかったが
日本からの世界選手権への出場者は小学生グランプリの優勝者、全日本選手権や名人戦などの女性の部優勝者1人、一般枠3人の5人である。一般枠は全日本選手権、名人戦、王座戦の優勝者が選ばれる。髙橋さんは今年7月10日の王座戦に優勝、世界選手権への出場権を得た。今回は17年、19年に続いて世界選手権3度目の出場になる。団体戦は厳しい戦いを制し優勝。しかし個人戦では惜しくも決勝に残れなかった。
17年、19年に出場したときは試合を楽しめたが、今回は勝ちを意識しすぎてプレッシャーがかかり、十分楽しめなかったのが原因だと思うと言う。前回は最初1勝したら、緊張が解けたが、今回はずっと緊張が続いていたそうだ。予選は2日間で13戦を戦う。1試合各自30分の持ち時間、1試合が1時間になる。体力も必要、メンタリティも重要だ。本人は何も言わなかったが、北海道への修学旅行から帰ってきて、1週間もたたないうちにパリへ出発したので、疲れがあったのかもしれない。
しかし決勝戦ではYouTubeの実況中継の解説者として登場。実は解説も前からやりたかったそうだ。解説は明快で鋭い読みを披露、試合のときの考え方がわかって参考になった人も多かったのではないだろうか。
小6で世界選手権準優勝、中2で優勝
オセロを本格的に始めたのは、小学4年生の時。親戚が集まるときにオセロで遊んでいたら、伯母さんが小学生オセログランプリに出てみたらと勧めてくれたそうだ。出場した結果は予選落ち。悔しくてすぐに本を買って勉強を始めた。次の年には3位になり二段に昇段。王座戦にも出場、3勝して三段になった。
小学6年生のとき小学生グランプリで優勝し、第41回世界選手権へ。初めての世界選手権で準優勝するという快進撃。同時にユースの部でのチャンピオンにもなった。この年にはテレビ朝日の「天才キッズ全員集合~君ならデキる!!~」でも取り上げられた。小学校の卒業式では「オセロの世界チャンピオンになって普及活動をする」と宣言したそうだ。
宣言通り、19年(中学2年生)には名人戦と王座戦の2タイトルを制し、第43回世界選手権に出場し優勝、見事世界チャンピオンとなった。この年は全日本選手権でも優勝し、四冠を取るという快挙だった。
また同年8月にはその当時母校2年生だった山崎蛍太さん、山崎冬矢さんと3人でオセロ甲子園に出場、強豪麻布学園Aチームを破り優勝している。
海外での試合もあるが、両親が自費で付き添ってくれるとのこと。両親のサポートにたいへん感謝していると語る。
SNSでオセロの問題を投稿していて、19年1月(中学1年生)に100問あれば本にできるので出版しないかという話があり、2月から5月まで執筆、校正などに7月までかかった。10月の世界選手権で優勝したその日に「髙橋晃大のオセロ必勝手筋100」が出版された(画像)。この本を執筆したことで、いままでの試合の見直し、手筋の整理などができ、力があがったという。YouTubeにも「あっくんのオセロドリル」というチャンネルを持っている。
今年の王座戦で優勝した結果、プレイヤーとしては最高位の九段に最年少で昇段した。九段は現在8人、髙橋さんは現在日本オセロ連盟レーティングの1位である。
次の目標は「永久会員」
6回世界チャンピオンになると日本オセロ連盟の永久会員になれるそうだ。次は永久会員とオセロのプロ化を目指したいと抱負を語る。
しかし世界選手権に出場するには、国内の大きな試合で優勝することが条件。トーナメント方式だから、1度負けるとそこで終わる。世界選手権の予選よりかえって難しいと言われている。来年は3年生で受験を控えているので、3月の名人戦で日本代表権を取りにいく。来年の挑戦はその1回だけの予定だそうだ。座右の銘は「最後まで諦めない」。オセロも受験勉強も肩の力を抜いて楽しみながら、粘り強く実力を発揮してもらいたい。
高校ではコンピュータ部に所属、週3回の部活動、英語の塾に週2回通っている標準的な高校生だが、実はまだまだ将来が楽しみなオセロの天才である。