インフラサウンドを利用して津波察知を/高41回・山本真行さんら研究進める
地震や津波対策の必要性が叫ばれる中、超低周波音(インフラサウンド)を利用して津波の発生や規模をいち早く察知する研究が高知工科大学で進められている。中心となっているのが同大学教授でインフラサウンド研究室長を務める山本真行さん(高41回)。メーカーとの共同開発で完成した「複合型インフラサウンド津波センサー」はすでに地元高知県内15カ所に設置され、今後の成果が期待される。大きな物体が動き、大気が押されたときに発生する、人間の耳には聞こえない超低周波音。流星が大気圏に突入する時や火山噴火でも発生する。これを防災に応用できないかと考え、山本さんは2004年ごろから研究に取り組んできた。
2010年6月13日の小惑星探査機「はやぶさ」帰還時にはオーストラリアの落下地点で待機して帰還時の音波と地震波の観測を実施、超低周波音をとらえることができた。そして翌2011年、東日本大震災。このときも超低周波音が観測されていたことを後で知り、インフラサウンドを利用した防災システムの研究を本格的に始める。
2015年2月には音響機器メーカー・サヤとの共同開発でインフラサウンドセンサー単体としての製品化に成功、黒潮町5個所に設置、2017年度は10台が追加で高知県全域に設置された。観測データの分析を続け、まずは地域版の緊急津波速報を出すことをめざしている。
山本さんは母校から東北大学に進み2003年に高知工科大学着任、2013年より現職。超高層大気の風を調べるための「宇宙花火」ロケット実験などにも取り組む。高校時代は天文部に所属しており、その頃の思い出を昨年の三丘会報70号に寄せてくれた(特集・三丘文化クラブの系譜)。
(2018.5.2)