資料室ニュース
「旧三丘会館」のあゆみ
よみがえった玄関と陳列室
「三丘会館記」にみる建設の経緯
資料室前の壁面に、「三丘会館記」と題した1935年の銘板がある。同窓会長でもあった辻良蔵校長による漢文調の名文で、会館建設の経緯を知るうえで貴重な史料だ。現代文にして抜粋してみた。
◆昭和校舎が1932年3月に竣工したことを祝賀し、記念館建設の動きが起こるも、機が熟さなかった。
◆同年11月、本校が陸軍大演習の御講評場となり、天皇の行幸があったことを機に気運が高まり、第1期卒業生で建築の第一人者である久野節氏に設計監督を委嘱した。
◆工事は1934年5月に始まり11月に竣工した。三丘同窓会(1929年発足)の名から「三丘会館」と命名された。
◆工費は2万1千円(現在の約1億円)。うち1万3千円が同窓会の募金で、あとは校友会と父兄有志が拠出した。(写真は寄附申込書)
◆2階には同窓集会のために2室、1階には生徒の図書閲覧室を設けた。
◆数年前からの同窓全員の思いが達成され感慨無量。本館の将来は本校の隆盛とともにあることを願う。

今年は資料室開設50年 ──前身は食堂だった

1990年ごろの同窓会総会
終戦間もない1946年5月には同窓会活動を再開。1948年9月、旧制堺中学校は新制三国丘高校に。同窓会は「三丘同窓会」の名称とともに継承された。
2階は、総会や幹事会、その他会合の場として使用され、長年にわたり同窓会活動を支え続けた。
1階は、1951年に図書室の本館移設に伴い食堂に。新体育館に食堂ができるまで、20年にわたり使用された後、1975年に創立80周年記念事業として、資料室(展示室と収蔵室)に全面改修された。
学校内外に分散していた母校創立以来の貴重な資料を、収集、保存、展示など、活用できる環境が整った意義は大きい。資料整理や環境整備を進めつつ、資料室は50周年を迎えた。
新三丘会館完成と旧三丘会館存続
母校創立100周年記念事業で1996年に新三丘会館が完成し、2階に集会用ホール、1階には同窓会事務局が設けられ、名実ともに同窓会活動の拠点が誕生した。
会館建設の計画に伴い、旧三丘会館(1966年、府に移管)の取り壊し案が浮上していたが、同窓会の強い要望に応える形で、学校が府と折衝を重ね、存続が認められた。
国の登録文化財に さらなる活用へ
それを受けて、学校と同窓会共同で検討委員会(6名)を設置。1年後の1999年に、「歴史の証言者であるとともに、建築史的にも貴重であり、修復・整備して後世に残し、活用したい」とする『会館の建築調査および活用・整備計画』が報告された。
その成果もあり、2000年には、「三丘資料館」として国の登録文化財に登録された。

2015年には、展示室にエアコン、収蔵室には稼働式書架が設置された。今回の改修も併せ、資料室のさらなる活用が期待されている。
〔2025年・記=資料室担当・藤田正身(高23回)〕
見学のご案内とお願い 見学ご希望の場合は、必ず事前に同窓会事務局までお問い合わせください。
2025年に向けた取り組み
来年、母校は創立Ⅰ30周年となりますが、創立80周年記念事業として1975年に旧三丘会館に開設された「資料室」も、50周年を迎えます。節目の年に向けて、学校と同窓会が協力して進めている資料室の取り組みを紹介します。「所蔵資料リスト」の整備 ~資料の所在を分かりやすく~

資料室作成の「所蔵資料目録」として、1975年版(錦田眞和先生作成)と92年版(松本政春先生作成)があり、合わせて1250点が分類項目別に整理されている。30年が経過し、新たな収蔵資料が年々増える中、必要な資料を速やかに活用できるように、「所蔵資料リスト」の整備が喫緊の課題となっていた。
昨年6月に、2年間の予定で収蔵資料の整理に着手。前記の1250点については、昨年末までにほぼ全数の所在が確認できた。整理番号は付与されているが、時間の経過とともに保存先が分散していたため、目録の分類項目別に新たに整理箱に保存し(写真参照)、エクセルへの入力も完了した。
現在、93年以降に収蔵された資料を中心に、新たに約3000点の整理を実施中。必要に応じて分類項目を増やしながら、1月には整理番号の付与とエクセルへの入力を開始。来年10月に、資料ごとの保存場所を明記した「所蔵資料リスト(2025年版)」が完成する予定だ。
収蔵資料を活用した調査 ~学校生活の移り変わりを中心に~
資料確認の過程で、新資料や新事実が少なからず見つかっている。現在、身近な「学校生活の諸相」を中心に、約20件テーマで調査を進めている。いくつかを紹介する。◆終戦(1945年)前後の学校生活。
昨年8月に発見された「職員会議録(昭和18年~21年)」には、占領下の制度切り替え時の混乱の様子が垣間見えるなど、興味深い内容が散見される。また、戦時中の旧制堺中生徒の日記類(コピー)も複数あり、併せて調査中だ。


◆堺中時代から現在まで、生徒に授与された表彰の数々。表彰内容や表彰理由など、時代を反映しているものも少なくない。
◆平成校舎竣工(94年)に伴い、現在の二足制(上履きへの履き替え)になった。では、それ以前はどうしていたのだろうか。
資料室の改修と展示のリニューアル
創立130周年の記念事業として、登録文化財でもある旧三丘会館(資料館)の改修が計画されている。展示室(床と壁面)の改修工事に合わせて、10年ぶりに展示全般のリニューアルを予定している。現在調査中のテーマの反映も含め、今秋から具体的な準備作業に入る。
☆ご案内☆
資料室では卒業期別に、在学時の思い出の資料(行事プログラムなど)を保存しています。学年同窓会の開催準備などに、ご利用ください。
学校の施設ですので、資料室の見学や資料閲覧は予約制となっています。ご希望の場合は、必ず事前に事務局までお問い合わせください。
〔2024年・記=資料室担当・藤田正身(高23回)〕
お知らせ(2023年)
◇資料室では次の資料をさがしています新聞部発行『三国丘高校新聞』 1958年~66年発行分
◇見学のご案内
見学は予約制です。ご希望の場合は、必ず事前にお問い合わせください。
※お問い合わせは、いずれも同窓会事務局までお願いいたします。
今年も一般公開を実施/特別展示は「三丘ゆかりの芸術作品」(2018年)

2018年6月9日(土)と10日(日)の2日間、母校の文化祭にあわせ、三丘資料室の一般公開を行いました。
1階の常設展示に加え、2階では特別展示「三丘ゆかりの芸術作品」、そして旧職員・吉川浩さんが1974年〜1990年に撮影した「体育祭スタンドアーチ」の写真を展示しました。
なお、個別に三丘資料室の見学を希望される場合は、事前に同窓会事務局までお問い合わせください。学年同窓会やクラス会での見学も増えています。
事務局 Tel 072-238-3093 Fax 072-242-7876
E-mail sankyuu@oregano.ocn.ne.jp
(2018.6.13)
「三丘文庫」誕生

「三丘文庫」と名付けられています。