三丘同窓会

父のマナスル初登頂から60年 今西邦夫(高23回)さんがネパール訪問
 同窓会長の今西邦夫さん(高23回)が、マナスル登頂60年の記念式典に招かれネパールを訪れた。
 1956年(昭和31年)5月9日、日本山岳会と毎日新聞社が結成した日本隊の一員として、父・今西壽雄さん(当時41歳)が、ネパール人隊員とともに世界で初めてマナスル(8163メートル)登頂に成功した。それから60年。今年4月30日の式典には、バンダリ大統領をはじめ、2日後に自身も山頂に立った隊員の日下田(ひげた)実さん、登山家の田部井淳子さんなど両国関係者1000名が出席、60年前の偉業に思いをはせた。

 戦後の混乱期を脱し経済成長期にさしかかっていた当時の日本に、世界に先がけての登頂成功は自信と感動をもたらした。記録映画『マナスルに立つ』は全国で上映され、記念切手が発行され、小学校の教科書にも登場した。4ヶ月後には登頂成功がきっかけとなって日本とネパールの国交が樹立されるなど、今に続く両国の友好関係の礎ともなったこともあり、式典前に行われたオープンカーによるパレードで、今西さんら日本人関係者はカトマンズ市民から大歓迎を受けた。

 登頂成功後、今西壽雄さんは建設会社社長に就任、70年の大阪万博ではネパール館を手がけ、駐日ネパール大阪名誉総領事も引き受けた。「ネパールに恩返しする」というのが口癖だったという。85年から88年まで日本山岳会の会長も務めた。95年に81歳で亡くなったが、遺骨の一部は翌年、マナスルを望む丘に埋葬された。

 今回の式典翌日、今西さんは20年ぶりに父が眠る現地を日下田さんと再訪、その模様は毎日新聞で紹介された。父の後を継いで駐日ネパール大阪名誉総領事を務める今西さんは「ネパール地震の復興支援も含め、これからもネパールとの友好促進に微力を尽くしたい」と語っている。


2016年5月2日毎日新聞から
(2016.5.21)