シェイクスピアの「オセロ」を能舞台化/泉紀子さん(高21回)
四大悲劇のひとつ「オセロ」を日本の古典芸能の伝統的な世界観と融合させた新作能が、シェイクスピア没後400年記念公演として、12月3日に京都の大江能楽堂で上演された。羽衣国際大学名誉教授・泉紀子さん(高21回)が脚本・詞章を担当したもので、重要無形文化財総合指定保持者である辰巳満次郎の演出・節付・主演で、茂山逸平らも出演した。「新作能オセロ」は、泉教授を中心に11名の専門家チームが5年をかけて脚本を練り、能面や衣装も創作するなど緻密な準備の末、2013年に大阪府立大学白鷺Uホールで関係者を対象に初演された。(野村萬歳もイアーゴ役で出演) 15年4月には、原作のテーマを生かし、能の手法を通してオセロの死後の世界を後日譚として、より象徴的に表現した夢幻能として実現させた脚本を完成させ羽衣学園講堂で初の一般公開。今回、京都で最も由緒ある大江能楽堂での再演が実現した。
シェイクスピア作品の能舞台化は05年の「新作能マクベス」に続く2作目。さらに、四大悲劇のひとつ「リア王」も4年後の上演に向けて完成させる意気込みとのこと。能を大学の部活動で始めて以来温めてきた「緊張感をはらむ能の所作なら、シェイクスピア作品をよりドラマチックに表現できるのでは」という思いを着実に結実させている。
泉さんは、関西大学大学院文学研究科博士課程修了(文学博士)。 02年より羽衣国際大学日本文化研究所所長を務めた。
読売新聞12月2日朝刊から
(2016.12.19)