三丘同窓会

動脈塞栓術で末期がん患者にも希望を/高20回・堀信一さん
 医師で、ゲートタワーIGTクリニックの院長を務める堀信一さん(高20回)は、がんの血管内治療「動脈塞栓術」の第一人者として注目されている。昨年10月4日にはTBSテレビ「夢の扉+」に出演、今年5月4日の読売テレビ「NEWS ZERO」にも登場した。
 動脈塞栓術とは、カテーテルと言われる直径1mmに満たない細い管を血管に差し込み、腫瘍にピンポイントで抗がん剤を投与、その後、塞栓材料(血液をふさぐための物質)を投入して血液の流れを止め、腫瘍を弱らせ、死滅させる技術。がんによっては血管をふさぐだけで効果が得られることもある。全身麻酔の必要がなく、開腹手術に比べて体の負担が少ない。抗がん剤の量も少ないので副作用も軽減できる。病状が進行したがんでも緩和治療と組み合わせながらQOLを維持していくことができ、余命宣告された患者にも希望を与える治療法とされる。

 動脈塞栓術そのものはかなり以前からあって、さまざまな臓器での止血や肝細胞がん治療など限られた分野で行われていた。堀さんは、20年以上前からこれを抗がん剤と組み合わせてがん治療に役立てようと研究を始め、新しい塞栓材料の開発やカテーテルの改良に努め、治療法として確立した。現在では脳腫瘍や白血病、リンパ腫以外のほとんどのがんに有効だという。

 高度な技術が必要とされ、肝細胞がん以外の領域でこの治療の豊富な経験をもつ施設はまだまだごく限られているというのが現状。IGTクリニックでは海外からの研修も積極的に受け入れているそうだ。

■堀信一さん
1975年徳島大学医学部卒業。大阪大学医学部、大阪府成人病センター、スイス・ベルン大学医学部、八尾市立病院、市立泉佐野病院の放射線科を経て2002年から動脈塞栓術を専門とするゲートタワーIGTクリニック(泉佐野市)院長。IGTとは「Image Guided Therapy」の頭文字。

(2016.5.11)