原発をめぐる同窓お二人/高20回・田中氏と高24回・井戸氏
本年9月に任期満了となる原子力規制委員2名の後任者が内定し、5月29日に発表されたが、その一人が高20回・田中知(さとる)さん(東大大学院教授/原子力国際専攻)。田中さんは、東京電力の福島原発事故後に日本原子力学会会長に就任し、まず学会内に事故調査委員会を設けて原発事故の原因究明を進め、現在は福島県の除染アドバイザー、青森県の原子力安全対策検証委員長を務める。母校との関係では、三丘セミナーの講師や土井隆雄・元宇宙飛行士の講演会でパネルディスカッションのコーディネーターをお引き受けいただくなど、愛校心の強い方でもある。
他方、原発に関しては5月21日に関西電力・大飯原発3・4号機(福井県)の運転差し止めを求める住民訴訟の判決があり、福井地裁は原告の訴えを認め、運転差し止めの判決を下したが、この裁判で原告団の弁護人を務めたのは高24回・井戸謙一さん。井戸さんは金沢地裁在任中の平成18年3月、中部電力・志賀原発2号機(石川県)の運転差し止めを求める住民訴訟で裁判長を務め、原告側の主張を認めて運転差し止めの判決を下した。それまで全国各地で原発の安全性に不安をもつ住民が原発設置の許可取り消しや運転差し止めを求めて提訴した裁判では、住民の訴えは全て斥けられてきたが、初めて住民勝訴の判決を下したのが井戸氏で、今回は弁護士として住民勝訴の判決を勝ち取った。
原発に関する重要な役割を奇しくも同窓のお二人が担っておられるのである。両氏の今後の言動に注目したい。
(2014.6.17)