三丘同窓会

高19回・竹内彰雄さんにベトナム政府から友好勲章    
 本年4月、高19回・竹内彰雄さん=写真右から2人目=がベトナム政府から友好勲章を受章されました。
 竹内さんが社長を務める片倉工業(本社・東京、一部上場)は、1989年(平成元年)にベトナム国営の衣料品製造会社と生産・輸入の取引を開始、以後25年間にわたり設備の供与や技術指導、製品販売等で貢献したことが高く評価されたことによるもの。友好勲章はベトナム政府が外国人に授与する最高位の勲章で、経済人の受章は極めて珍しいとのことです。



  ちなみに、片倉工業は、世界遺産登録が決定した「富岡製糸場」を近年まで所有していました。
「富岡製糸場」は、近代国家をめざして殖産興業を掲げた明治政府がフランス人技師を招いて建設、1872年(明治5)に開業した官営の生糸生産工場で世界屈指の規模と設備を誇り、絹産業に画期的な技術革新をもたらす共に日本の産業近代化に大きく貢献しました。
 その後「富岡製糸場」は、1891年(明治24)三井財閥に払い下げられて民営企業となり、1939年(昭和14)に片倉製糸紡績(現・片倉工業)の所有となりましたが、国内の絹需要の低迷と外国からの廉価な生糸輸入の増大により1987年(昭和62)に操業を停止しました。だが、富岡製糸場が果たした歴史的役割を重く受け止めた片倉工業は、「貸さない、売らない、壊さない」の3原則をもって維持・管理を続け、2005年(平成17)に建物一式を富岡市に寄贈(敷地は有償売却)し、その翌年国から「重要文化財」の指定を受け、さらに本年「世界遺産」に指定されることになりました。
 操業停止後約20年、固定資産税だけで年間2千万円、その他の維持・管理費を加えると年間1億円に達する年もあったそうですが、原状維持に努めた同社の努力が日本に世界遺産をもたらしました。なお、片倉工業では、会社をあげて世界遺産「富岡製糸場」を支援することを決め、築1世紀半となる建造物を原状で維持するために必要な技術の提供等を続けるそうで、その企業姿勢は稀有なものと言えましょう。
(2014.6.22)