三丘同窓会

「はやぶさ」を出迎えた西田信一郎氏(高26)  
 惑星誕生の手がかりを求め、小惑星イトカワに向けて探査機「はやぶさ」が打ち上げられたのは平成15年5月。本体わずか2立方メートル弱の小さな「はやぶさ」だが、惑星誕生の謎を知る手がかりとしてイトカワの地表サンプルを持ち帰るという使命を担って地球を飛び立った。4年後の平成19年に帰還の予定だったが、燃料漏れやエンジンの異常停止、通信の途絶など、予期せぬ様々なトラブルが発生し、地球帰還は到底困難と思われたこともあった。が、多くの関係者の懸命の努力が功を奏し、予定よりも3年遅れて昨年6月、60億kmを旅して地球に戻ってきた。

 南オーストラリアの広大な荒野の、落下予想地点を囲む数百km四方に展開して「はやぶさ」を出迎えた回収班総勢50名、その班長として指揮をとったのは高26回・西田信一郎氏である。前年に落下予想地点を下見したものの、「ここに再び来ることはない」と思っていたそうで、カプセル回収に成功し、カプセルからイトカワの地表サンプルが発見されて「はやぶさの凄さを実感した」という。

 西田氏は、京大大学院工学研究科から東芝に入って国際宇宙ステーションや人工衛星搭載のロボットアーム等の設計・開発に携わり、平成14年(独)航空宇宙技術研究所に入所、現在JAXA(宇宙航空研究開発機構)の月・惑星探査プログラムグループ研究開発室長を務める。
 なお、回収班の光学・音響観測のメンバーに高41回・山本真行氏(高知工科大学准教授)がおり、二人は母校天文部の先輩・後輩でもある。


はやぶさ©JAXA
 
(2011.7.2)