三丘同窓会

現校歌の作詞者・山上愛さん(高6回)ご逝去   
 去る8月26日、母校の現校歌を作詞された高6回・山上愛さん(旧姓:吉武)が肺癌のため逝去されました。享年76歳。

 山上さんは、昭和23年4月旧制・大阪府立堺高等女学校(現・泉陽高校)に入学されましたが、同年9月学制改革による生徒交流で旧制・堺中学校を前身とする本校に移ってこられ、男女共学となった新制・三国丘高校で新たなスタートを切られました。
 その2~3ヶ月後に新しい校歌の歌詞募集があり、翌24年2月多数の応募者の中から山上さんの詞が第一席に選ばれました。作曲にあたったのはピアニストとしても著名な同窓の東京芸大教授・宅孝二氏(中22期:1904年~1983年)で、24年9月に曲が完成し、同26日全校生徒に新校歌が披露され、校歌練習が行われました。

 だが、残念なことに新校歌が披露されたその日、山上さんは結核を患って病床にあり、ご自分が作詞された校歌を聴くことは出来ませんでした。当時の学校新聞は、「女性部員が病床に山上さんを訪ね、校歌完成を伝えた」と報じています。本校在学中の山上さんは肺結核のために何度も休学を繰り返し、昭和23年に入学(高3回)されましたが、ご卒業は29年3月(高6回)となりました。

 奇しくも本年は、現校歌誕生から満60年にあたります。校歌も還暦を迎えましたが、あらためて歌詞を読み返しますと、「若き命」を主題に一番から三番まで見事な語句展開で、作詞者が当時高校1年生で16歳の少女だったとは到底信じられない思いがします。
 山上さんの素晴らしい詞と、宅孝二氏の躍動感あふれる清新な旋律が相まって誇るべき校歌を私達はもつことができました。
 あらためて作詞者・山上愛さんに感謝し、心からご冥福をお祈り申し上げます。

三国丘高校校歌

一 空は晴れたり金剛の 山なみ遠く輝きて
  若き命をたたえつつ 自由の鐘を打ち鳴らす 理想は高し三丘生

二 水は澄みたり茅渟の海の 波のうねりも安らかに
  若き命をたたえつつ 平和の祈り捧ぐなり 叡智は深し三丘生

三 人は和ぎたり学舎の 愛の契りは固くして
  若き命をたたえつつ 正義の旗をふりかざす 使命は重し三丘生

注:茅渟の海=「大阪湾」の古語
 
(2009.11.24)