三丘同窓会

マダガスカルでエイズと闘う 高15回・吉武克宏氏      
 アフリカ大陸の東南に浮かぶ島国・マダガスカルは、面積は日本の約1.6倍、人口約二千万人、珍しい動植物が多数生息していることで有名だが、国民一人当たり年間所得280ドルと貧しく、多くの日本人にとっては未知の国である。そのマダガスカルで高15回・吉武克宏氏は、医師としてエイズ対策に取り組んでおられる。

 近年のマダガスカルは、地下資源のレアメタル(ニッケル、チタン、ウランなど重要な希少金属)で脚光を浴び、各国から人の出入りが急増し、それに伴ってエイズの蔓延が懸念されるが、医療関係の人材・施設が乏しい同国政府は各国に支援を求め、その要請に応じて我が国の国際協力機構(JICA)が外務省所管の政府開発援助(ODA)の一環として国際技術協力を行うことになり、吉武氏が他の日本人専門家と共にマダガスカルに派遣されることになった。
 吉武氏は、過去にも国立国際医療センターに籍をおき、13年間にわたって国際協力に関わり、バングラデシュ、エジプト、タイなどの諸国に長期滞在して医療に従事した経験があるが、今回は60歳を超え、国立病院院長の職を辞してマダガスカルに赴くことを決断された。

 現地での仕事は、保健省の予防対策事業の政策立案を指導するという、目立たない裏方の仕事で、「貧困国であるためヒト・モノ・カネの全てを外国の援助に頼らざるをえない状況」という。加えて大統領派と反大統領派が衝突して多数の死者が出る事態がおき、両派の集会がある日は各省庁は早い目に門を閉ざして退庁するような状況だそうで、任務を果たされて無事なご帰国をお祈りした
(2009.6.16)