銅鐸分析で定説を覆した中48期・久野雄一郎氏逝去
三宝伸銅工業(現・三菱伸銅)の元社長で日本の古代金属研究に取り組んだ中48期・久野雄一郎氏が本年4月25日に逝去された。享年79歳。同氏は、東大工学部で冶金学を学んだ後、父・晴雄氏が創業した「三宝伸銅工業」に入り、他界した父の後を継いで30代で社長に就いたが、社長業のかたわら「銅」の研究を続け、日本における「銅」研究の第一人者と目された。
また、日本の古代金属に関心をもち、それまで大陸から渡来したとされる「銅鐸」について、その成分を分析して日本国内で産出した銅や鉛、錫で造られたものであることを実証し、従来の定説を覆した。その業績は、同窓の考古学者・森浩一氏(中47期)からも高く評価されている。
平成11年三宝伸銅が三菱マテリアルの傘下に入ったのを機に会社経営から退き、亡くなるまで橿原考古学研究所の指導研究員として研究に専念された。なお、たいへんな蔵書家で、多岐にわたる図書や資料2万冊を堺市立中央図書館に、専門書1,300冊を橿原考古学研究所に、それぞれ生前に寄贈され、堺市立図書館では平成11年「久野文庫」を開設した。
2009年6月6日朝日新聞
(2009.6.20)