三丘同窓会

大鳥大社外壁にカラフルな壁画/久山茜さん(高58回)ら地域住民が制作

 堺の大鳥大社といえば全国の大鳥神社および大鳥信仰の総本社とされ、起源は平安時代にさかのぼるとされる由緒ある神社。その大鳥大社の外壁にカラフルで楽しい壁画が登場して話題になっている。制作の中心になったのは久山茜さん(高58回=写真)だ。

 大鳥大社では今年になって外壁にスプレーで落書きされるという事件が発生した。場所は境内の東南角、阪和線の軌道に近いところだ。大社では最初、落書きの上からペンキを塗って消すことを考えたが、今後の防止策も考え、いっそのこと壁画アートをつくろうと発案、地元の堺市西区役所に相談した。

 久山さんは社会人になってから改めて武蔵野美術大学の通信教育課程で本格的に油絵を学び、現在アーティストとして活躍中。一方で地元、堺市西区政策会議の一員でもある。
 政策会議は住民の意見を区の行政に反映させることを目的に堺市の各区に設置されているもので、西区でも大学講師や地元の企業関係者、学生その他多彩なメンバーが住民代表として参加、情報交換や議論を行っている。久山さんは母校の先輩の紹介で政策会議の前身、区民評議会の頃から参加するようになった。アーティストとしての活動も次第に知られるところとなり、今回の壁画アートの担当にと、声がかかった。

白鳥伝説を絵に

 壁画を描くにあたっては条件があった。大鳥大社は日本武尊(やまとたけるのみこと)を祭っている。日本武尊は死んだ後に白鳥(しらとり)になって現在の大鳥大社の地に舞い降りたと伝わる。また、大鳥大社はハナショウブでも有名。画面には日本武尊と白鳥、ハナショウブ、大鳥大社を必ず入れてほしいとのこと。

 久山さんはこの条件に沿って、6月に下絵を制作。その後、下絵に着色、8月になって実際のブロック塀をまず白いペンキで塗り、その上に下描き、そしてペンキでの色塗りという工程を経て、8月末に壁画が完成した。ブロック塀3つ分、10mにわたる大作だ。色塗りにはボランティアや地域の子供達も加わり、総勢20〜30人が参加した。白鳥の表現には久山さんも参加する母校美術部OB会「美留丘(みるく)」の仲間で野鳥の会の会員でもある星合啓子さん(高31回)がアドバイスしてくれ、大いに役に立ったそうだ。


下絵に着色したもの。これが基本に。


ブロック塀に下描き中

 完成した壁画は、画面左に太刀を腰にした日本武尊がすっくと立つ。その左手が示す先には大きな羽を広げて空をかける白鳥。白鳥の目線の先には大鳥大社。大社のまわりでは折しもだんじり曳行の最中らしく、にぎやかな歓声が聞こえてきそうだ。そして地上にはハナショウブが花盛り。大勢の手が加わることで下絵からさらにパワーアップ、絵巻物のようなダイナミックでわくわくする世界が出現した。

完成した壁画(クリックで大きな画像に)
   
(2022.9.27)