三丘同窓会

アマビエをテーマに新作能/能楽師の上田敦史さん(高44回)
 能楽師(大倉流小鼓方)の上田敦史さん(高44回)がアマビエをテーマにした新作能を創作、話題を集めている。

 
父と兄も金春流太鼓方という上田さん(右)は子供の頃から舞台に立っていたが、1992年に大倉流小鼓方16世宗家・大倉源次郎氏のもとで本格的に修行を始め、2001年に独立した。2017年、国の重要無形文化財に指定されている能楽を高度に体現できる者として、国の重要無形文化財総合認定保持者に認定された。

 2014年に兵庫県丹波市に移住。丹波市は丹波猿楽に縁があり、市内の複数の神社で翁三番叟が行われているという土地。上田さんは、地元で能楽文化を広め、根付かせるべく小中学校で能楽教室を開催するなどの取り組みを始め、2019年に発足した「新丹波猿楽座」では総監督を務める。これは中学生以下の子供たち15人が参加しているもので、同年の「輝こう丹波っ子 丹波すくすく大賞」を受賞した。

  残念ながら新型コロナウイルス感染症をめぐる一連の情勢により新丹波猿楽座も活動休止を余儀なくされているが、再開の時のために執筆されたのが「アマビエ」。
  アマビエ(アマビコ=海彦=も同じと考えられている)はその絵を人々に見せると疫病退散の効果があるとされる、江戸時代から伝わる妖怪。新型コロナウイルスが猛威を振るう昨今、にわかに注目されているが、新作能では妖怪ではなく神様から遣わされた存在となっている。
 ある大臣の夢に現れたアマビエが疫病を鎮めるための方法を教え、その通りにすると疫病が収まる。これに感謝するために人々が海辺で音楽を奉納していると海彦が現れて舞を舞い、また海に帰っていく…というお話。アマビエや地謡、お囃子を子供たちが務める楽しい作品になりそうだ。1日も早くコロナ禍が収束し、上演できる日が来ることが待たれる。


写真上=2019年12月の新丹波猿楽座特別公演で舞台挨拶する上田さん。
写真下=同公演でオリジナル狂言「ちーたんと丹波竜」を披露する子供たち

9月の三丘アカシアトークカフェに登場!
 上田敦史さんは9月12日(土)の第7回三丘アカシアトークカフェに登場、「未来につなぐ能」と題し、わかりやすく、実演も交えて話していただく予定です。ぜひご参加ください!  
(2020.6.1)