三丘同窓会

三丘アカシアトークカフェ第6回開催
吉内佐和子さん(高43回)「ダイエットの秘訣 〜私の健康体重とは?肥満外来からの㊙︎メッセージ~」


 本年2月8日14:00〜16:00、三丘アカシアトークカフェ第6回「ダイエットの秘訣〜私の健康体重とは? 肥満外来からの㊙︎メッセージ」が三丘会館にて開催され、48人が参加した。

 講師の吉内佐和子さんは関西医科大学附属病院管理栄養士。大阪市立大学卒業後、同病院に栄養士として勤務。その傍ら大阪教育大学修士課程・大阪市大大学院博士課程を修了した。学術博士である。
 高校時代はハンドボール部に所属、それほど活躍する選手ではなかったそうだが、大学時代も続けたくて、ハンドボール部を立ち上げた。「4年のときに出場したハンドボールの大会で、東嘉伸先生が参加者名簿をご覧になり、私が母校卒業と知って声をかけてくれました。今の病院も紹介してくれました」とのこと。ハンドボールは現在も続けていて、講演の翌日も試合があるとのことだった。
 吉内さんが勤務している病院には肥満外来があり、吉内さんは栄養指導を担当。今回は、その肥満外来での取り組みについてお話してもらった。

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リバウンドしないダイエットを
 まず患者さんが頑張っているのに痩せないという原因を考えるために、自分の肥満の型にあった減量方法をとっているか、食べている量や内容に勘違いがないか、食べるきっかけについて考えたことがあるか(刺激やストレスに弱くないか)、食べる時間が不規則だったり遅いのではないかなど、生活を見直してもらいます。今回の講演でも減量したい方が生活を見直すきっかけになっていただけたらいいなと思います。

 肥満外来では合併症などの診察、栄養指導、運動療法、臨床心理士によるカウンセリングが行われます。認知行動療法を取り入れ、メンタル面に配慮した「メンタルダイエット」を指導しています。摂取カロリーを減らして、運動をして消費カロリーを増やしましょうというところは他と変わらないのですが、メンタル面で「私がこれを決めて私がこれをする」と本人が主体的に行動を選択するところが違います。「人は変えられないが、人は変わる」。強制的なダイエットは続かないのですが、主体的に行動を選択すると、リバウンドのないダイエットができて、太らない体質になります。

適正体重とは
 肥満の目安に使われるのがBMI=体重(㎏)を身長(m)の 二乗で割ったもの=です。
 やせたいというが、どんな体型になりたいですか、どんな体型がいちばん健康だと思いますかとお聞きします。若い人にはモデル体型(BMIが16~20ぐらい)になりたいと思う人がいます。でもBMIが18を下回った女性が妊娠すると子どもさんに十分栄養が行き渡らなくて生まれた子どもさんは将来生活習慣病になってしまうリスクを持っていると言われているので、ここまで痩せるのがいいことかどうかは疑問です。

 また一方でラグビーの日本代表チームのキャプテン、リーチ・マイケル選手はBMIが29.3あります。この人を肥満とは誰も思わないと思います。こういう人たちはトレーニングすることによって脂肪が少なくて筋肉が多いのです。筋肉は重いので筋肉がたくさんある人はBMIが高くなります。

 BMIは18.5~25ぐらいの間にその人に合った値があると言われています。血圧、血糖値、コレステロールの値などを考えるとBMI 22のときが最も生活習慣病になりにくいとされていますが、死亡率がいちばん低いのはBMI 23、24であると言われています。健康で長生きしようとするならどれぐらいがいいのかという結論はでていません。
 とは言っても内臓脂肪がたまっているような体型、ウエストが男性85cm以上女性90cm以上の人はメタボリックシンドロームと言われていて、いろいろな危険因子があがってくるので改善したほうがいいです。

内蔵脂肪を減らすには
 一般に7000kcal減らすと内臓脂肪が1kg減ると言われています。7000kcal消費するにはフルマラソン3回分ぐらいの運動量が必要で、1日で減らせるカロリーではありません。

 ではどうやって減らしていくか。1カ月で1kg減らすとすると1日230kcal、今より減らせばよいわけです。これはコンビニおにぎり一個半ぐらいのご飯の量(140g)です。運動で減らすには、ちょっと早足で80分必要。両方を組み合わせて1日230kcalマイナスにすると上手に痩せられます。しかしこれをこつこつ取り組める人がどれぐらいいるのかがいちばん問題です。毎日するのはほんとに難しいです。

リバウンドする原因は
 リバウンドする原因は大きく二つあります。

(1)筋肉量が減る
 いろんなダイエットがはやります。やってみると短期的には効果がでますが続きません。また糖質制限ダイエットやプチ断食ダイエットはリバウンドすることが多いです。なぜかというと、急に摂取カロリーを減らすとタンパク質が不足して、筋肉が一部分解されて消費されてしまい筋肉量が減ります。1kg筋肉を減らすと1日50kcal基礎代謝量が落ちます。1年だと18250kcal消費カロリーが減ります。するとダイエットをやめて元の生活に戻ると1年で自然に体重が2.6kg増えることになります。無茶なダイエットをして、筋肉が減る、また太る、また急なダイエットをする、また筋肉が減る。これをヨーヨーダイエットといって、どんどんやせにくい体を作ってしまうことになります。

(2)レプチンの分泌が急に減る
 また脂肪細胞から、食欲を抑え脂肪の燃焼を促すレプチンという物質がでています。急激に体脂肪を減らすとレプチンの分泌量が急に低下して、食欲がとまらなくなる。これは飢餓に備えて持っていた機能ですが、リバウンドにつながることになります。

メンタルダイエットの3本柱
 メンタルダイエットで大事なことは大きく3つあります。
(1) 行動目標を決める
(2) セルフモニタリング
(3) 根拠のない思い込みを外す

生活を振り返って行動目標を決める
 目標を決めるときには「体重を5kg減らす」という目標にするのではなく、体重を減らすために自分がする「行動」を決めることがポイントです。例えば食べることに関しては「ジュースをお茶にする」「揚げ物は週1回に減らす」など、運動に関しては「駅では階段を使う」「10分以上の散歩をする」など、続かないと減量につながらないから、「できそう」で、かつ「生活を振り返ってこれが問題だ」と思って「変えたい」ことを考えます。
 食べることはストレス解消になっていたり、気分転換になっていたり、自分へのご褒美という意味もあって習慣は変えにくいし、太っている人は自分の食習慣について気づいていないことが多いので、見直すことから始めます。

【太りやすい4つの食習慣】
 ◆知識・認識不足型:知識不足で太りやすい食生活を送っている。 野菜不足、揚げ物過多、ファーストフードの利用、清涼飲料水過多、アルコール過多、果物過多、間食過多。
 ◆早食い・大食い型:おなかいっぱいまで食べる、早食い、欠食、食事が不規則、夕食が遅い、いつも目につくところに食べ物がある。
 ◆食べ物誘惑型:好きなものは別腹・食べ残しはもったいない・新製品に弱い。 食べ放題は食べないと損と思う。
 ◆ストレス解消・暇つぶし型:やけ食いがストレス発散・暇だと食べ物を探す。

 自分がどのタイプにあてはまるか考えて、どんなところを変えてもいいか自分で考えて、食事に関する行動目標を決めます。

【運動の行動目標設定】 
 ◆定期的な運動習慣:歩数計をつける・歩数を決めてそこまで歩く
 ◆歩く習慣:車移動を徒歩に変える。一駅歩く
 ◆運動への興味が薄い:日常生活でこまめに動く
 ◆自宅でぼうっとする時間が長い:寝転ぶ→座る・背筋を伸ばして座る・散歩の時間を作る
 ◆忙しくて運動する時間がない:通勤時10分だけ歩ける時間を見つける・昼休みを使う
 ◆スポーツが好き:スポーツジムに通う

 などのうち、できそうなことを選びます。最初は歩数計をつけるだけでもかまいません。

セルフモニタリング
 食べることと運動の行動目標がきまったら、セルフモニタリングをきっちりすることが重要です。

 朝と夜、1日2回体重を計って、行動目標はできたかどうかを記録します。朝は体重が一番安定しているので、増減の目安にします。また体重は普通朝と夜では1kgぐらい違いますが、差が1kg以上ある日や朝の体重が前の日より増えたときは食事の内容や何があったかを考えて、行動を見直します。
 例えば体重が3日続けて増えました。何があったのか考えると夜にお菓子を3日続けて食べました。それが原因だと気づく。1日だけだと元に戻る場合も多いので、3日続けなければよいというようなことがわかってきます。

  セルフモニタリングをして、問題を認知と行動の工夫で改善していくようにします。
 ある出来事が起きたときの考え方や気持ち(認知)を見直して、それによって行動を変えていく。自分がやったことの評価、気づきを持つ。そうすると失敗しても理由がわかり、やり直しができるようになります。これを認知行動療法と言います。
 どうして食べることになったのか、なぜ食べないと悪いと思ったのかなどを考えていきます。また「あれっ、もう食べないの」と言われたときに、相手を嫌な気持ちにさせずに、お誘いを断る練習=アサーション(自己表現)トレーニング=をすることも大事です。

 行動目標は7割~8割ぐらいできるレベルにしておくのが大事なことです。完璧にできないから、自分はだめだと思い込む人もいるのですが、それだと続きません。できないという事実が残るとダイエットはできません。続かないのなら設定目標が高すぎるので、まずは8割ぐらいできればいいと思ってやってみて、それで効果が出ない場合はもう少しレベルを上げます。

 肥満外来に来られる方はかなり太っている方が多いので、もし体重が減ったとしても、200gぐらいなら、それぐらい誤差の範囲だ、効果は出ていないと思う人がいます。でもそういう小さな変化を見落とさないようにすることが大事です。そのときできたことはなんだったのか、なぜ減ったのか、そこを考えて褒めます。自分でもできたことを褒めてもらいます。そうすると何をすれば体重が減るのかわかってきます。
 体重が減るときは、同じ体重が3日ぐらい続いて、また少し減るというように階段状に減っていきます。こういう場合は確実に減って行きます。けれど急激に減った次の日はまた増えたりするように、体重の変化が安定していない人は結局1週間前と同じ体重に戻ったりします。そういう場合は何が原因か考えて、体重変化を安定させるためには何をすればいいか考えてもらいます。

参加者の質問に答える吉内さん

思い込みをなくす
 ダイエットははじめはうまくいっても、必ず停滞期があります。そのときに根拠のない思い込みがよく見受けられます。この思い込みを外すことが必要です。

 ◆否定的な予測をする:今度もだめかも・些細なつまづきで挫折する⇒もう少し続けよう
 ◆オール・オア・ナッシングで考える⇒行動目標の達成度合いが△(あまりできなかった)でもよいと考える
 ◆マイナス思考をする⇒できなかったことにとらわれない
 ◆固定した考えを絶対視する:~すべき⇒~してみよう
 ◆レッテルを貼る:もうだめだ⇒やればできることを見つける
 ◆ネガティブなことを自分と関連づける⇒自分ばかり責めない
 ◆拡大視や縮小視をする⇒客観的な視点で見る

食事の目安量・摂り方
 食べ物のカロリーを減らすのが、数字として結果が出やすいです。リバウンドをしないためのバランスのよい食事の仕方、筋肉量を落とさずに内蔵脂肪を落とすにはどれぐらいのカロリーを摂取するのがよいか考えます。
 まず標準体重を計算してそれを元に摂取カロリーの目安を計算します。
・標準体重=身長(m)×身長(m)×22(BMI)
・1日の摂取カロリーの目安=標準体重×(25~30)kcal
 だいたいみなさん、これより消費カロリーが少し多いので、だんだん体重が減っていきます。

栄養バランスのよい食事
主食+主菜+副菜(2品)
各栄養素の配分
・炭水化物のエネルギー-比率は50%以上60%を超えない範囲とする。
・たんぱく質標準体重1kgあたり、1.0g~1.2g。
◆例:身長150cmの女性
 標準体重 1.5×1.5×22=約50kg 
 摂取カロリーの目安 50×(25~30)=1250~1500kcal 
◆身長170cmの男性
 標準体重 1.7×1.7×22=約63kg
 摂取カロリーの目安 63×(25~30)=1575~1890kcal

身近な食べ物のカロリー
食べ物1点=80kcalとすると計算しやすい。
◆1食の目安
・穀類:男性3点、女性2点、
・油脂:0.5点、油は腹持ちがするので、少し使う方がいい。
・たんぱく源:2点(女性1日6点、男性1日8点を目安)
・野菜(2品)1点 
・果物類は1日1点。
◆1点の目安量 
・穀類 1点:ご飯1/2杯(50g)、食パン6枚切り1/2枚(30g)など
・油脂 0.5点:油大さじ1/2杯
・タンパク質系 1点:牛乳120㏄、赤身の肉50g、白身魚1切れ(80g)など
・野菜類 2品 
野菜・きのこ・海藻・こんにゃく たっぷり 0.5点
イモ類(Mサイズ1/2)・かぼちゃ40g・金時豆20g 0.5点
・果物類 1点:1個・150g

BMAL1
 遅い夕食で太りやすいのは脂肪をため込む性質があるBMAL1(ビーマルワン)という物質のピークが22時から2時だからです。その時間にはできるだけ食べるのを避けていただいたほうががいいです。逆に14時から16時の間は一番少ないので、おやつを食べるのならその時間にすると内臓脂肪に変わりにくいので、食べる時間も意識してもらうといいのかなと思います。

アルコール
 ご飯抜いたら、アルコール飲んでもいいですかということをよく聞かれるのですが、アルコールはエネルギー源にならずに、直接脂肪を作る元になると言われているので、ご飯の代わりと考えるのは間違いです。
 1日平均純アルコールで20グラム程度(女性や高齢者、飲酒後にフラッシング反応を起こす人は、これより飲酒量を少なくすべきである)と言われています。
 20gとは大体「ビール中ビン1本」「日本酒1合」「チュウハイ(7%)350mL缶1本」「ウィスキーダブル1杯」などに相当。

性格別ダイエット
 うちの病院ではTEG(東大式エゴグラム)による心理テストを活用しています。自分の性格に合ったダイエットのやり方をするほうが長続きします。

【性格のタイプ】
 ◆批判的な親(CPタイプ) 責任感が強く厳格で、理想を持って行動する。
 ◆保護的な親(NPタイプ) 思いやりがあり、やさしく、世話好きで、受容的
 ◆合理的な大人(Aタイプ) 現実的で、理性的、クール、冷静沈着
 ◆自由な子ども(FCタイプ) 感情を隠さず、明朗快活、創造的、本能に基づいて行動
 ◆従順な子ども(ACタイプ) 感情を押し隠す、遠慮がち、他者の顔色を見て行動する

どの性格が強いかによってダイエットの方法も変わります。

 ・CPタイプ 目標を高くしすぎて、達成できないと自分を責める。ハードルを上げすぎない。
 ・NPタイプ 自分を大切にすることが抜けがち。仲間を作ると効果的。
 ・Aタイプ  情報が大好きなので、情報に振り回されやすい。自分にあった情報を選ぶ。
 ・FCタイプ 3日坊主になりやすい。形から入るとうまくいく。
 ・ACタイプ ノーと言えないタイプなので、断り方を覚える。減量効果を出しやすいけれど、依存性が高いので、自立することを考える。

 心理テストで点数が高いほうが自分の活力のあるところなので、自分の低いところを上げるように変えていくと生活全体に活力が出ていい結果になります。

ダイエットの秘訣
 最後にダイエットの秘訣とは、次の3つです。

・無理せず
・がんばりすぎず
・続けられそう

 これを確実に続けていくことかなと思います。
以上です。今日はご静聴ありがとうございました。
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 いつものように途中、ティータイムをはさんでのアットホームな講演会。今回のテーマ「肥満」や『ダイエット』はやはり身近な話題。すぐに役立ちそうな内容も多く、講演後は質問も相次いで、大いに盛り上がった。
 講演の後は、いつものように吉内さんを囲んで記念写真の撮影。



 関西医科大学附属病院の肥満外来はBMIが30以上の人が対象だが、BMI25~30の軽症肥満を対象としたOBwebコースも開設されている。詳細は同病院のホームページをご覧ください。
 また今回の講演の内容を詳しく知りたい方は下記の本を参考にしてください。
<参考文献>
関西医科大学教授 木村穣 著
「頑張らなくてもやせられる!メンタルダイエット 名医が教える「一生太らない体質」になるメソッド」
 
(2020.6.4)