三丘同窓会

高13回・中村 博さんが関西弁の万葉集を上梓
 高13回・中村 博さんが、万葉集の全4516首を関西言葉に訳す大事業に取り組み、このほど「万葉歌みじかものがたり」として第1巻を刊行された。

 中村さんは、母校在学時代に万葉学者の犬養孝・阪大教授の講演を聴いて万葉集に魅了された。当時、万葉集の第一人者とされた犬養教授は、講演中に独特の節回しで万葉集を朗詠されることでも有名で、「犬養節」と称されて聴く人を魅了した。
 母校から阪大経済学部に進んだ中村さんは、時間をやりくりしては文学部に出向いて犬養教授の講義を聴講し、犬養教授主催の万葉の故地を訪ねる会にも参加したそうである。

 大学卒業後は万葉集に縁のなかった中村さんだったが、10年ほど前に肺を病んだときに犬養教授の著書を再読し再び万葉集に取りつかれ、リハビリを兼ねて万葉ゆかりの地309カ所を全て訪ね歩いたそうで、「万葉の時代は関西の言葉が標準語だったはず」、「ならば万葉集を関西言葉に置き換えてみよう」と思い立ったという。
 第1巻を今回出版されたが、最終的に全10巻を出版の予定で、「犬養万葉学の精神を若い世代に伝えたい」と抱負を語る中村さんである。

 
2012年7月22日付朝日新聞  

(2012.11.1)