三丘同窓会

水を使ってゴミを資源に/高17回・吉田弘之さんら研究 
 大阪府立大学の吉田弘之教授(高 14回・環境化学工学)らが生ゴミから取りだしたバイオガスでミニバイクを走らせることに成功、3月15〜17日に同大学で開かれたワークショップで研究成果を発表した。吉田氏は「水」によってゴミ(下水汚泥や生ゴミ)を資源に変える研究をすすめているが、その実用化の日も遠くないことをこの実験で印象づけた。
 「水」といっても、普通の水ではなく「亜臨界水」と呼ばれる特殊な状態の水。水は約20気圧、374度Cを超えると、液体でも気体でもない「超臨界水」と呼ばれる状態になる。これより低温・低圧で分解能力を持つ水が「亜臨界水」。超臨界水はダイオキシンや化学兵器の処理などに有効とされて研究がすすめられているが、分解力が強すぎるため、ゴミから「資源」を取り出すことはできない。そこで、吉田氏が注目したのが亜臨界水による加水分解。この技術を用いると、たとえば魚のアラからはカルシウムやリン、DHAやEPA(エイコサペンタエン酸)など を、廃木材や紙くずから水素やメタンガスを得ることができるという。
 これまで焼却・埋め立てするしかなかったゴミが資源に生まれ変わるという、まさに夢の技術だ。「ゴミを無くすことは不可能だが、資源として再利用することで『ゼロ』にすることは可能」と言い切る吉田氏。廃棄物を出さない「ゼロ・エミッション社会」をめざし、研究は続く。